給与の支払額が増えたら要チェック【所得拡大促進税制】。個人事業者も使えます。

人件費を増やした場合に節税できる制度があります。

20160109

人件費を増やした場合に節税できる制度

決算を迎えるとチェックしないと
いけないことがあります。


従業員に対する給与の総額を
増やしたら税金を減額できる制度が
使えるかどうか。


この制度は
「所得拡大促進税制」といって
国が事業者に対して
従業員に対する給与を増やして
下さいね、
そうすれば税金を減らしますよ、
という制度です。


どれぐらい税金が減るかというと
給与支給額の増加額の10%。


たとえば、
基準となる年度より従業員に対する
給与の支給額が500万円増えていれば、
その10%の50万円、節税となるわけです。


ぜひとも使いたい制度ですよね。


ただし、税金から差し引ける金額は
法人税や事業部分の所得税の20%
(中小企業以外は10%)が上限です。

どんな条件なら節税できるか?

この所得拡大促進税制、
単純に前期より給与の支払額が
増えたから節税ができる、
というものでもありません。


クリアすべき条件がいくつかあります。

1. 適用対象の期間であること

法人であれば平成30年3月31日までに
始まる年度であること。


個人事業者の場合は平成30年までが
適用対象になっています。


※平成28年1月現在の内容です。

2. 青色申告をしていること

青色申告をしている法人、個人が対象です。


白色申告だとダメです。

3. 給与増加の3つの要件を満たしている

給与を増やしたかどうかの判定は
次の3つの要件を全て満たしているか
どうかで行います。

(1) 従業員に支払った給与総額が基準年度から3%以上増えていること

役員に対する給与は含みませんが、
パートやアルバイトの給与、
残業手当や賞与(ボーナス)は
含んで計算します。


基準年度は
法人であれば、平成25年4月1日以降に
始まる年度の1つ前の年度です。


1つの例を挙げると平成25年3月31日で終わる年度
が基準年度になります。


個人の場合は平成25年になります。


この基準年度にまだ事業を始めてなければ
事業を始めた最初の年度の給与総額の70%を
基準年度の給与総額とします。


またこの基準年度に事業は始めていたけど
従業員がいなかった場合は、1円を
基準年度の給与総額とします。

(2) 従業員に支払った給与総額が前年度より増えていること

(1)と同じ給与総額が前年度より
増えていないといけません。

(3) 1人あたりの給与支給(平均給与)額が前事業年度を上回る

給与の総額だけでなく、
1人あたりの給与支給(平均給与)額も
前年を上回っている必要があります。


ただし、単純に平均給与を出すのではなく、
今年度の新入社員や
前年度に退職した社員を
除いた前年度、今年度に在籍する
社員の給与平均を計算します。


さらに、雇用保険の加入対象者
(高年齢の雇用者や日雇いなど除く)
のみを対象として
計算することになります。


従業員が多いとこの要件を
確認するのが結構な手間です。

4. 雇用促進税制を選択していないこと

雇用保険の対象となる従業員を
増やした場合に節税ができる
「雇用促進税制」を採用する
場合はこの制度を使えません。


「雇用促進税制」とどちらが
有利かを判断して採用する
ことになります。


従業員を増やせば節税できる雇用促進税制。個人事業者は2月末までに手続きを。
https://balance-blog.com/Employment-Tax-Limit


メリットの大きい雇用促進税制。期首から2ヶ月以内の手続きが重要です。
https://balance-blog.com/Employment-Tax-Benefit

お金を使わない節税をもれなくやることが大切

節税の種類には大きく分けて4種類
あります。


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この「所得拡大促進税制」は
お金を使わず、
税金の支払額を減らす
節税です。


給与を支払うという意味では
お金は減るのですが、
節税のために支払うものでは
ないですよね。


お金を使わず、
税金の支払額が減る節税は
もれなく実行したいものです。


要件の確認は面倒ですが
「所得拡大促進税制」
を使わない手はありませんよね。

まとめ

「所得拡大促進税制」が
使えるかもしれないと感じたら、
早めに要件の確認を始めましょう。


要件の確認には
1人1人の従業員の入退社を
考慮して計算しないといけません。


決算が終わってから、
ではなく年度の途中から
計算の準備を始めていきましょう。


【編集後記】

「所得拡大促進税制」は
要件の確認がややこしいです。


給与の総額が増えていても
実際に計算すると平均給与は
増えてなかったりと。


ただ、
前年まで給与支給がなかった場合や
新規開業者の場合で黒字の
場合は必ず使えます。


この点に絞った記事もアップ
する予定です。


【昨日の1日1新】

・上島珈琲店 四条烏丸店 黒糖ミルク珈琲

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