節税策として取り上げられる経営セーフティ共済ですが、本来は不測の事態に直面した中小企業を助ける制度です。
経営セーフティ共済には2つの貸付制度がある
経営セーフティ共済(倒産防止共済)はその名の通り、取引先が倒産したことにより売掛金などの回収ができなくなった場合に共済金という名目で資金の貸付けを受けることができる制度です。
また、取引先の倒産がない場合でも、積み立てた掛金に基づく解約手当金の範囲内で一時貸付金として事業資金の貸付けを受けることも可能です。
経営セーフティ共済に加入する際、もしくは既に加入済みの事業者の方もいざという時のためにこの2つの貸付制度を理解しておきましょう。
貸付制度の内容は?
経営セーフティ共済の2つの貸付制度についてみてみましょう。
1. 共済金
共済加入後6ヶ月以降で取引先の事業者が倒産した場合に受けることができる貸付制度です。
「倒産」に該当する事態には、
破産手続開始の申立て、2回の手形不渡りによる取引停止処分、私的整理手続きのことをいい、夜逃げ等は該当しません。
・貸付限度額は、取引先の倒産で回収できなくなった売掛金債権と仕入れ時の前渡金の額と、セーフティ共済への掛金総額の10倍のいずれか少ない金額です。
・返済期間は5年~7年
・返済方法は6ヶ月の据置期間の後、毎月均等分割により返済
・貸付利率は、無利子です。
ただし、貸付けを受けたときに、共済金の貸付額の10分の1の金額が払い込み掛金から控除されてしまいます。
つまり、貸付金の完済したとしても、任意解約をした時の解約手当金が減る、新たに共済金の貸付けを受ける際の基準金額が減るということです。
・無担保、無保証人
2. 一時貸付金
取引先の事業者が倒産をしていないくても、事業資金が必要な場合に、解約手当金の95%を上限として貸付けを受けることができます。
・掛金の納付月数が11ヶ月以下の場合は、貸付けを受けることができません。
・貸付限度額は解約手当金の95%の範囲内なので、掛金総額が上限の800万円の場合、760万円の貸付けを受けることができます。
・返済期間は1年で、期日一括返済になります。
・貸付利率は、平成23年4月1日以降、現在は「0.9%」で、貸付け時に一括で前払いします。
・無担保、無保証人
2つの貸付制度の違いは?
2つの貸付制度の違いを理解しておきましょう。
1. 貸し付けるを受けるタイミング
共済金は取引先の倒産の事態が生じたときのみ、
一時貸付金は共済加入が資金を必要としたときに
貸付けを受けることができます。
2. 返済方法の違い
共済金は6ヶ月据え置きの後毎月均等返済、
一時貸付金は期日の一括返済となります。
3. 貸付利率
共済金は無利子ですが、貸付金の10分の1相当が掛金から
控除されることにより実質は利息負担があると言えます。
一時貸付金は、現時点では年0.9%の利率で、共済金のように貸付金の10分の1相当が掛金から控除されるといったことはありません。
まとめ
いざという時のためにも、経営セーフティ共済の貸付制度の内容を理解しておきましょう。
特に一時貸付金は、
掛金の控除がなく、利率も比較的低利率であることから使い勝手の良い制度といえます。
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【編集後記】
今日の京都は台風による雨もあがり
台風一過の良い天気となりそうですね(^^)