流動比率で安全性を判断すると危険。比率より金額で判断する。

指標だけでは判断できません。

20200719

流動比率とは

企業の安全性を判断する指標の1つに

流動比率(りゅうどうひりつ)

というものがあります。

どういうものか、というと
次の2つのグループを比較して
計算した比率のことです。

20200719_1

1つめのグループは
現金や預金のお金そのものや、
売掛金、商品といった
すぐにお金になるものを集めた
「流動資産」というグループ。

もう1つのグループが
買掛金や未払金、計算された税金など
これから1年以内に支払いが必要になる
「流動負債」というグループです。

分かりやすく確認するために
次の例で考えみましょう。

「流動資産」が預金  300 のみで
「流動負債」が借入金 100 だった場合。

流動比率は

流動資産 ÷ 流動負債 という式で計算します。
 
すると 300 ÷   100  =  300%

流動比率は150%以上とか200%以上あれば
優良企業とも言われたりするので
このケースだと優良企業と言えるのかもしれません。

とにかく借入金の支払に困ることは
ないので安心ですよね。

もし

「流動資産」が預金   50 のみで
「流動負債」が借入金 100 だった場合。

流動比率は   50  ÷  100 = 50%

預金50 では 借入金100 の支払いが
できないので安全とは言えないわけです。

流動比率が100%を切ると危険と判断されたり
するわけですが、危険であることは確かです。

流動比率で安全性を判断すると危険

流動比率が100%を切ると危険
であることは分かりました。

じゃあ、流動比率が100%を越えると
本当に安心なのでしょうか。

20200719_2

先ほどの例で
流動比率が300%で流動資産が全て預金で
あれば確かに安心なのですが、

流動比率で安全性を判断することが危険

なのです。

流動資産の中身は要注意

なぜ、流動比率で安全性を判断すると
危険かいうと、

「流動資産」の中身に問題がある

からです。

流動資産には下記のようなものが含まれます。

現金、預金といったお金そのもの他には

・売掛金:売上の代金でこれからお金を回収するもの

・商品 :まだ販売されていない商品の在庫

・前払費用:お金の支払いは済ませたもののその効果がこれから起こるもの
→例えば、3ヵ月後に受講するの研修費用など

・仮払金 :お金の支払は済ませたものの、支払内容や金額が確定していないもの
→例えば、社員さんに渡したこれから出張に必要となる見込みのお金

が含まれています。

現金・預金 300
売掛金   250
商品    300
前払費用  100
仮払金   50

これで流動資産の合計は 1,000 になります。

でも、この 1,000 が
すべてそのままお金に替わるかというと
どうでしょうか。

前払費用や仮払金は既に
お金を支払ってしまっています。

稀に解約をするなどして
返金してもらえることはあるかもしれませんが
お金に替わるかいうと難しいわけです。

売掛金だって、
代金を支払ってくれないお客さんがいると
250 ではなく 180 しかお金にならない
可能性があります。

商品も全てが定価で売れると 300ではなく
400が入ってくるかもしれませんが、
売れ残りの商品があったり、
今すぐお金に換えないといけないとなると
220 しかお金として入ってこないかもしれません

すると、流動資産の実態を確認すると

現金・預金 300 → 300
売掛金   250 → 180
商品    300 → 220
前払費用  100 →  0
仮払金      50   →       0

となり、合計は 700 に減ってしまいます。

流動比率が100%以上であっても

決算書を確認して

流動資産  1,000
流動負債       800
流動比率  125%

流動比率が100%を越えていて安心、
という企業であっても
流動資産の中身をよく見てみると

流動資産   700
流動負債       800
流動比率   87.5%

と安全とは言えない状況だったり
するわけです。

20200719_3

流動負債の中身というと
仕入代金をこれから支払う買掛金、
2ヵ月以内に支払う必要がある
法人税や消費税といった税金などです。

全て支払いが必要なものなので
流動負債が決算書の数字より
少なくなることはほとんどありません。

比率は金額を補足するためにある

企業の安全性を確認するために
流動比率を確認したとしても
本当に安全かどうかは
分かりません。

実態を確認しないまま
比率で判断すると
誤った判断になりかねないわけです。

比率はあくまで金額を
補足するためにあるものと
考えておきましょう。

流動比率もあくまで参考指標として
実態のお金に替わるものを確認して
支払いに困ることがないかを
確認しないといけませんね。

【編集後記】

昨日は午前中、家の掃除などをして後
午後は事務所へ出勤。

連休も近いのでできることを
前倒しで済ませておきたいですね。

【昨日の1日1新】

・東洞院SOU テイクアウト ライスコロッケ

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