30万円未満の物品が全額経費!その訳は?【少額減価償却資産】

30万円未満の物品や設備なら全額経費になる理由と注意点です。

20160122

30万円未満の物品や設備なら全額経費になる理由

「たしか30万円未満だったら
全額経費ですよね?」

 
よく確認を受ける内容です。

 
オプションなどでのグレードアップで
21万円で購入したノートPC、
25万円で購入したエアコン、
28万円で購入した食器洗浄機。

 
これらは全て30万円未満で
購入しているので
購入した年度に全額を経費に
することができます。

 
でも、これはあくまで特例なのです。

 
備品や機械、車両、建物、建物附属設備などで
時間の経過によりその価値が減るモノを
「減価償却資産」といいます。

 
本来は10万円以上で購入した
「減価償却資産」は
購入した金額の全額を
購入した年度に経費(損金)にすることは
できません。

 
けれど、特例があるので
30万円未満なら購入した年度に
購入金額の全額を経費(損金)にできるのです。

少額減価償却資産の特例を受ける時に気を付けること

30万円未満の減価償却資産なら
購入した年度に全額経費(損金)
にすることができる特例のことを
「少額減価償却資産の特例」
といいます。

 
「少額減価償却資産の特例」は
特例だけあって、
いくつかクリアする要件があったり、
気を付けることがあります。

法人でも個人でもOK

法人でも個人でも受けることができます。

青色申告をしていることが要件

青色申告が要件です。

個人事業者の場合、開業してしばらく
白色申告をされるケースもありますが、
その場合はこの特例を使えません。

 
開業年から青色申告されることを
お勧めします。

期間限定の制度である(これまでは期間延長を繰り返しています)

あくまで期間限定の制度です。

 平成32年3月31日までに
購入して使い始めたモノが
対象になります。

平成30年の税制改正でも延長されました。

——————–

↓記事執筆時
平成28年3月31日までに購入して、
使い始めることが要件です。

 
昨年平成27年12月に発表された
税制改正案では
この期限が平成30年3月31日まで
2年延長になっています。

 
ですので、
平成30年3月までは使える見込みです。

 
平成28年度の税制改正の内容についてはこちら

https://balance-blog.com/archives/3277

———————

中小企業や個人事業者じゃないとだめ

資本金が1億円以下の法人や
従業員が1,000人以下の個人事業者
でないとこの特例を使えません。

 
資本金が1億円を超える会社の子会社
などではこの特例を使えないケースが
あります。

平成28年4月以降は
資本金が1億円以下であっても
従業員数が1,000人を超える会社では
この特例を使うことができません。

 
こちらも平成28年度の税制改正案では
資本金が1億円以下であっても
従業員が1,000人を超える会社などは
特例が使えなくなる改正が
盛り込まれています。

購入だけではだめ、使い始めていること

購入しただけでは、
この特例を使えません。

 
あくまで使い始めていることが
要件です。

 
個人事業者が12月に慌てて
PCをインターネットで発注したけど、
手元に届いたのが翌年1月だった。

 
これでは12月に購入代金を支払って
いたとしてもこの特例を受けることが
ができません。

 
もちろん特例じゃなくても
年内の経費にすることができません。

年間合計300万円まで。ただし、設立、開業年は要注意

「少額減価償却資産の特例」は
年間合計で300万円まで使うことが
できます。

 
ただし、会社を設立した年度や
個人事業を開業した年は要注意です。

 
300万円が限度ではなく、
設立年度や開業日から12月までの
月数に応じた金額が限度になります。

 
設立年度が6ヵ月なら150万円が限度です。

消費税が税込経理か税抜経理かで判断していること

消費税の経理処理が
税込経理であれば
税込30万円かどうかが
基準になります。

 
税抜経理をしていれば
税抜30万円かどうかで
判断できます。

 
税抜経理をしている方が
特例を使える対象が
少し広がりますよね。

書類作成時に必要な記載事項があるもしくは必要書類を添付している

「少額減価償却資産の特例」を
受けるためには
書類作成時に注意が必要です。

 
法人税の申告では専用の書類(別表)を
添付しないといけません。

 
個人の確定申告の場合は
青色決算書の
「減価償却の計算」へ記載する
ことで対応できます。

償却資産税の対象となる

少額減価償却資産の特例を使うと
購入して使い始めた年度に全額
経費になりますが、市町村へ申告する
償却資産税では扱いが変わります。

 
少額減価償却資産の特例を使っても
その資産を使い続ける限りは
償却資産税という税金が発生します。

少額減価償却資産の特例の効果は大きい

「少額減価償却資産の特例」の効果は
大きいです。

 
仮に300万円分の対象資産があった場合、
その資産の耐用年数によって変わりますが、
300万円の減価償却費となるか、
30万円程度の減価償却費になるか
といった違いが生まれます。

 
減価償却費の経費が
270万円増えれば、
法人税や所得税、住民税といった
税金を少なくても40万円ほど、
多ければ100万円以上減らすことが
できます。

 
もちろんその税金が少なくなる分は
翌年以降の税金が増えるのですが、
最初に払う税金が減るので
その分お金が手元に残りますよね。

まとめ

「少額減価償却資産の特例」は
青色申告の大きなメリットの1つです。

 
特に会社の新規設立、個人の開業の年には
高額な物品や設備を導入していることも
多いです。

 
少額減価償却資産の特例を活用して
税金の負担を抑えて、
お金を残すようにしましょう。

【編集後記】

飲食店や美容室などの
店舗型ビジネスで開業される方は
是非とも開業時から青色申告を
してこの制度を活用して
頂きたいです。

 
初年度から事業が順調に
いけばいくほど
少額減価償却資産の特例の
効果がでますので。

 
白色申告で特例が使えないと
もったいないです。

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