「贈与税の負担がないから」では選ばずに。相続時精算課税。

相続時精算課税の注意点です。

20160209

贈与税の負担が少ないからという理由で検討されることが多い

2,500万円までなら贈与税の負担がなく
一度に贈与することができる、
相続時精算課税制度。


これまで実際に制度を利用している例を
見たのはごく僅かなのですが、
相談ではよく登場する制度です。


2,500万円までなら贈与税がかからない、
このポイントの印象が強く
検討されることが多いようです。


けれど、実際にはデメリットも多く
「贈与税がかからないから」
のポイントだけでは選ばないように
してください。

相続時精算課税ってどんな制度

相続時精算課税がどんな制度を
確認しましょう。

贈与には2つの制度がある

贈与には大きく2つの制度があります。


1つは毎年110万円までなら
贈与税がかからないとう
「暦年課税」制度。
通常はこちらです。


もう1つが「相続時精算課税」。
要件を満たす人が選択することで
使うことができる制度です。


1人が1年間にもらった金額が
110万円までなら贈与税かからない。


贈与についてこの部分を理解されている方は
多いですが、これはあくまで
「相続時精算課税」を選択しておらず、
「暦年課税」で贈与税の計算をするとき
の話です。

相続時精算課税のポイント

相続時精算課税のポイントを
確認しておきましょう。

2,500万円までなら贈与税がかからない

相続時精算課税を選択すると
贈与税の計算は次の式で行います。


(もらった財産の金額 - 2,500万円)× 20%


2,500万円の特別控除を引いたあとの
金額に20%の税率を掛けるという計算
です。


そのためもらった財産の金額が
2,500万円までなら贈与税が
かかりません。


さらに2,500万円は1年間ではなく、
相続時精算課税を選択して以降の
贈与額の合計です。


何年にも分けて贈与したとしても
合計で2,500万円までなら贈与税が
かかりません。


住宅取得のための資金の贈与であれば
2,500万円特別控除とは別に
贈与税の非課税制度を使うことができます。

https://balance-blog.com/archives/3691

使える人が限られている

相続時精算課税を適用できる人は
限られています。


贈与する人は、
贈与した年の1月1日時点で60歳以上の
父母や祖父母に限られます。


贈与を受ける人は
贈与を受けた年の1月1日のおいて
20歳以上であり、贈与する人の
子供(相続人)や孫でないと
いけません。


だれでもが使えるわけではありません。

相続税の計算対象になる

2,500万円までの贈与なら
確かに贈与税がかかりません。


ただし、それで終わりでは
ありません。


贈与した人が亡くなった場合、
相続税の計算をするときに
相続時精算課税で贈与した財産も
含めないといけないのです。


贈与税は払わずに済んだけど
相続税は払わないといけなくなった。


そんな事も起こりえるのです。


将来相続税の負担が発生するのか
というシミュレーションも行った
上で選択しないといけませんね。

相続時精算課税を選択する場合は要注意

贈与税は2,500万円まで
かからないけど、
相続税の計算対象になる、
それ以外にも注意点が
あります。

選択したら戻れない

相続時精算課税を使う時には
贈与税の申告をしないといけません。


一度、相続時精算課税を選択して
贈与税の申告をしてしまうと、
毎年110万円まで贈与税がかからない
暦年課税には戻ることができません。

贈与があれば必ず申告しないといけない

相続時精算課税を選択した年の
翌年以降は、たとえ少額でも
贈与があれば必ず贈与税の
申告をしないといけません。


暦年課税の場合は、
毎年110万円以内の贈与であれば
申告する必要がありません。


少し手間が掛りますよね。

相続税の改正があれば相続税の負担が増える、発生する可能性がある

将来相続が発生して
相続時精算課税で贈与した財産を
含めて相続税の計算をしても
相続税の負担も発生しない。


現時点での相続税の
シミュレーション結果は
こうかもしれません。


けれど、将来相続税の改正が
あった時には相続税が発生する。


そんな可能性があることを
理解しておかないといけません。

小規模宅地等の特例制度が使えない

相続税の計算では
住んでいた家の土地や
事業で使っていた土地に
ついては評価額を引き下げて
相続税の負担を少なくする
特例があります。


小規模宅地等の特例といって
要件を満たす土地であれば
評価額を最大8割減額してくれます。


ただし、
相続時精算課税で贈与を受けた土地
については小規模宅地等の特例が
使えません。


急いで贈与をしなくても
相続して小規模宅地等の特例を
使えば贈与税も相続税も発生しない、
そんなケースも考えられます。

まとめ

2,500万円までなら
贈与税の負担がない、
だけで相続時精算課税を
選ぶことがないように
してください。


相続時のシミュレーションと
あわせて検討することを
お勧めします。


とにかく選択すると
戻れないので慎重に。

【編集後記】

5ヵ月の次男、
最近寝返りをマスター。


けれど、
失敗して腕が体の下に挟まって
身動きとれず泣くこともしばしば。


なかなか目が離せなく
なってきました(^^;


【昨日の1日1新】

・生まれてから何日目か、80歳まであと何日かを計算する
→税理士の井ノ上さんのブログを参考に計算


【昨日の1日1捨】

・事務所キャビネット内の段ボール
※中にはファイルが少し。空き空間を保管してました。。

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