飲食業の会計では勘定科目を分けることで経営に役立つ情報を提供できます。
経営に役立てる経理をする
経理を行う目的は何でしょうか?
事業の利益を正確に集計して税務署への申告を行う、もちろん大切な目的です。
しかし、それだけは意味がありません。
事業を経営するにあたっての判断や確認のために必要な情報を提供するという目的があります。
飲食業の経理では少しの工夫をすることで経営に役立つ情報を提供することができます。
勘定科目を分けて管理する
経営に役立つ情報を経理をするための工夫の1つが勘定科目を分けて管理するということです。
フードとドリンクの売上げを分ける
フード(食べ物)とドリンク(飲み物)の売上げを区別して集計します。
通常、売上高という1つの科目だけで計上されていることも多いのですが、フード売上とドリンク売上と勘定科目を分けて計上します。
科目を分けることで、1ヶ月の売上の中身を分析することができます。
1ヶ月の売上 200万円
という情報よりも
1ヶ月のフード売上 150万円
1ヶ月のドリンク売上 50万円
の情報の方が経営に役立てることができます。
フードの売上アップを考えるのか、ドリンクの売上アップを考えるのか次の選択肢を絞り込むことができます。
さらに日々の客数や組数を集計していれば日別や月別、曜日別のフード、ドリンク、全体の客単価、組単価を計算することができます。
Excelで記録してピボットテーブルを使えば集計も簡単です。
ランチとディナーを分けて、さらにフードとドリンクで分かれているより分析しやすいです。
フードとドリンクの仕入れを分ける
売上と同様に仕入れもフードとドリンクで分けます。
フードとドリンクで仕入先が異なることが多いので、仕入れ先毎にフード仕入、ドリンク仕入を仕分けをしておいて、集計をするだけです。
1ヶ月の仕入 60万円
という情報よりも
1ヶ月のフード仕入 42万円
1ヶ月のドリンク仕入 18万円
という情報の方が経営に役立ちます。
売上についてもフードとドリンクを分けて集計できていれば、
原価率に関してもフードとドリンクの原価率を把握することができます。
原価率30%の情報だけだったものに、
フードの原価率28%、ドリンクの原価率36%という情報が加わります。
すると新メニューを考える際の価格設定にも役立ちます。
フードの新メニューの原価率が30%になりそう。
このまま新メニューを追加すると全体の原価率が上がり、利益率が下がる可能性が出る。
利益率が下がっても集客ができるからそのままメニューを追加するか、それとも価格を見直す、といった検討ができます。
これが原価率30%という情報しかなかれば、その店舗の平均的な原価率である新メニューを追加することになるでしょう。
給与手当と雑給を分ける
社員やアルバイトに支給する給与を「給与手当」という1つの科目で計上している場合は、社員の給与を「給与手当」とアルバイトの給与を「雑給」と分けて計上しましょう。
昨日は飲食店の経営ではFLRコスト比率を確認するべき、という記事を掲載しました。
飲食業で利益を確保するために。FLRコスト比率を確認しましょう。
https://balance-blog.com/Catering-FLR-Ratio
FLRのうちL(人件費)の比率が高い場合、社員の給与である「給与手当」を下げることは難しいものの、アルバイトの「雑給」であればシフトの見直しなどで費用を抑えるといった取り組みができます。
科目を分けておけば、「給与手当」「雑給」が売上に対してどれだけの割合を占めているか確認できますよね。
まとめ
少なからず経理には手間がかかります。
手間がかかるなら少しの工夫で経営に役立つ経理をしましょう。
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【編集後記】
昨日は初めて鶴見緑地駅へ。
平成2年に国際花と緑の博覧会(花の万博)が行われた場所です。
公園の中には入っていませんが緑が多く癒やされました(^^)