平成27年4月より消費税簡易課税制度のみなし仕入率が変更になっています。
消費税の簡易課税制度とは
事業者が税務署に納める消費税の計算方法は2つに分かれます。
1つは一般課税といって、売上とともに受け取った消費税から仕入や経費とともに支払った消費税を差し引いた差額を税務署に納める方式です。
もう1つは簡易課税といって、売上とともに受け取った消費税だけを根拠に税務署に納める金額を計算する方法です。
支払った消費税を考慮しない代わりに、業種別に設けられたみなし仕入率を使って売上とともに受け取った消費税から差引く金額を計算することになります。
簡易課税制度は中小事業者の事務負担を軽減させるために設けられたものです。
原則として、会社であれば2期前、個人事業者であれば2年前の消費税の課税売上が5,000万円以下の場合に、あらかじめ税務署に届出書を提出することで採用できます。
この簡易課税制度の業種別のみなし仕入率の一部が平成27年4月より変更になりました。
みなし仕入率の見直しの内容
このみなし仕入率の変更内容は次のとおりです。
金融業及び保険業が第四種事業から第五種事業へ、不動産業が第五種事業から第六種事業へといずれもみなし仕入率が引き下げられます、つまり消費税の増税となる改正です。
それぞれ売上とともに受け取った消費税の10%を以前より多く納税することになりますので、該当する場合の負担は大きいですね。
なお、事業の種類がどの業種に該当するかは総務省が定めた日本標準産業分類に従って判断します。
総務省-日本標準産業分類
金融業及び保険業のなかには、金融機関や保険会社が該当するのですが、保険代理業も含まれるので保険代理店で消費税の簡易課税を採用している場合は増税となります。
不動産業には、土地建物売買や不動産仲介、不動産賃貸業、不動産管理といった業種が含まれます。
変更後のみなし仕入率がいつから適用されるか
では、実際にこのみなし仕入率の変更がいつから適用されるかです。
平成27年4月1日以後からスタートする
この改正は、平成27年4月1日以後に開始する期間から適用されます。
会社であれば、平成27年4月1日以降に始まる年度から、
3月決算の会社であれば、平成27年4月1日からスタートしています。
個人事業者であれば、来年平成28年1月1日から適用することになります。
経過措置に要注意
ただし、変更後のみなし仕入率の適用については経過措置が設けられており要注意です。
経過措置の内容は、
平成26年9月30日までに簡易課税を選択する届出書を提出した事業者は、
平成27年4月1日以降に開始する期間であっても、
簡易課税の選択を開始した日から2年以内に始まる期間であれば、
改正前のみなし仕入率が適用される、
というものです。
経過措置があるので同じ決算月の会社や個人事業者であっても変更後のみなし仕入率を使うタイミングが異なります。
影響を受けるのは次のパターンです。
新たに第六種が適用される不動産業の例です。
【3月31日決算の会社】
【12月31日決算の会社・個人事業者】
確認しておいて頂きたいこと
簡易課税のみなし仕入率の変更に関して次のことを確認しておきましょう。
会計ソフトの消費税区分
会計ソフトを使って記帳している場合、消費税の区分も自動で設定されているケースがほとんどです。
みなし仕入率が変更となっている事業者の方であれば会計ソフトの設定を確認してください。
従来であれば、「売上高」と入力すれば、「消費税:簡易第5種」と自動で選択されていたものが「消費税:簡易第六種」となるよう変更が必要です。
一般課税か簡易課税かの判断
簡易課税のみなし仕入率の変更にともない、簡易課税ではなく、一般課税で計算した方が消費税負担を抑えられるケースも考えられます。
計算方法の選択は変更しようとする場合、変更しようとする年度や年の前年度や前年中に税務署に届出を行わなければいけません。
今後の事業の状況、多額の設備投資等によって有利不利が変わりますので事前に試算しておくことをお勧めします。
簡易課税を新たに選択した事業者の方は、2年間は継続適用となりますのでご注意を。
まとめ
新しい簡易課税のみなし仕入率を適用する時期は、簡易課税の選択届出書をいつ提出しているかによって異なります。
消費税の計算を簡易課税で計算している事業者の方は、いつ簡易課税を選択したのかを再度確認しておきましょう。
いつから新しいみなし仕入率が適用されるか確認しておいてください。
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【編集後記】
先週末は事務所にある観葉植物のお手入れ。
大きく育ちすぎたパキラを剪定し、
その他の鉢も含め土に栄養剤を注入してきました。
一層元気に育って欲しいものです(^^)