個人が土地建物を売却して、利益が出ている時は譲渡所得として確定申告をする必要があります。
この譲渡所得の確定申告においては、土地建物の所有期間の判定が重要です。
土地建物の所有期間によって税率が異なる
譲渡所得の申告では、譲渡所得の金額に税率を掛けて、所得税と住民税を計算することになります。
1.譲渡所得の計算
譲渡所得は次の算式で計算します。
収入金額 -( 取得費 + 譲渡費用 )= 譲渡所得
取得費とはその土地建物を買った値段(建物は減価償却費という価値の目減り分を控除します)のことです。
譲渡費用とはその土地建物の売却のために掛かった費用のことで仲介手数料や登記費用などです。
この譲渡所得がプラスとなれば、譲渡所得の申告が必要になるのですが、譲渡所得に掛ける税率が土地建物の所有期間によって異なるのです。
2.所有期間ごとの税率
・所有期間が5年以下の場合
税率 39.63%
(所得税30.63%、住民税9%)
・所有期間が5年を超える場合
税率 20.315%
(所得税15.315%、住民税5%)
所有期間が5年を超えるかどうかで税率が倍近く変わりますね。
この他、居住用の土地建物で所有期間が10年を超える場合で要件を満たす場合にはさらに税率が下がる規定などもあります。
所有期間をどうやって計算するの?
では、この重要な所有期間はどうやって計算するのでしょうか。
土地建物を売った年の1月1日における所有期間で判断するのですが、所有期間はもちろん土地建物を取得した日から売却した日となります。
すると次にその売却した日、取得した日がいつかになるかがポイントです。
1.売却した日は選ぶことができる
土地建物を売却した日は、その土地建物を「引き渡した日」になります。
しかし、「その売買に関する契約の効力が発生した日」を売却した日として選ぶこともできるのです。
通常、契約を締結して、手付金の支払いをすると売買契約が成立しますよね。
この日でもいいのです。
2.土地建物を取得した日も選ぶことができる
一方で、土地建物を取得した日も、原則は「引き渡しを受けた日」ですが、「売買契約に関する契約の効力が発生した日」を選ぶこともできるのです。
ただし、これはあくまで他人から土地建物を取得した場合に限ります。
家を新築する場合の請負契約や新築マンションで契約時に建物が未完成の場合は、あくまで取得の日はその土地建物の「引き渡しを受けた日」が「取得の日」となるのです。
3.具体例でみてましょう
次の場合はどうでしょうか。
【取得した日】
・契約日 平成21年11月15日
・引渡日 平成22年 1月20日
【譲渡した日】
・契約日 平成26年12月20日
・引渡日 平成27年 2月 3日
このケースで、所有期間が5年を超えるのは、
取得した日を「契約日」の平成21年11月15日とし、
譲渡した日を「引渡日」の平成27年 2月 3日としたケースだけなのです。
それ以外のパターンでは、全て所有期間が5年以下となり、高い税率で計算することになってしまいます。
まとめ
土地建物の譲渡した日をいつとするか、取得した日をいつとするかによって、申告する時期や納税額が変わりますので、申告する際には十分注意して下さい。
特に契約日と引渡日が年をまたぐケースは要注意です。
また、利益の出る見込みの土地建物の売却を検討する際にはその年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるのかどうかもあらかじめ確認しておかないといけませんね。
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【編集後記】
昨日は自身の手続きのため、最寄りの区役所へ。
今年建て替えが終わったばかりで快適な空間に生まれ変わっていました。
休憩がてら寄ってもいいかなと思わせる空間です。
地域の憩いの場になりそうですね。